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レ・ミゼラブル(東京公演)

5月12日ソワレ 帝国劇場

    【帝劇への珍道中?!】
      普段、家ではもちろんのこと、休憩時間や仕事中(ヤバッ!)にミュージカル関係のサイトをよく見ているんですけど、もう一人のトート閣下である山口祐一郎さんが気になっていました。聞いている人を酔わせるという歌声、抜群の歌唱力にとても興味があって。9月の東宝エリザベートまで待とうかなと思ったのですが、チケットはかなり厳しそうだし、エリザは内野さん最優先で動きたいし、できればその前に観たいなぁ〜って……それでふと思ったのです。「そういえばレミゼやってるじゃ〜ん」
     こういうサイトを始めた以上、基本的な演目は観ておかないといけないとは思っていたのですが、さすがにS席13,000円を予定外にポ〜ンと出すのははキツイ…(+_;) カード会社の貸切だと多少安かったのですが、迷っていたので暫く保留にしたのです。しか〜〜〜し!!4月のとある日、仕事&片思いの彼絡みで腹の立つことがあって、その怒りの勢いにまかせて気がついたら貸切公演に申し込んでいたのです……o_ _)o レミゼ、小学生の時、子供の文庫本で「あぁ無情」を読んだことはあったのですが、登場人物の名前を覚えているくらい。ストーリーなんて???でした。そこで、岩波文庫から出ている全4巻に挑戦しようと思ったのですが……仕事が立て込んできた上に、その頃は月組エリザに行く日が近くてすっかりエリザモードに入っていたのでギブアップ!取り急ぎサイトを歩き回ってあらすじを頭にたたきこみました。まるで試験1週間前の中高生気分?!

    【初レミゼ&初帝劇】
     5月12日、定時に会社を飛び出して帝劇に向かいました……有楽町駅から歩いていたのですが、なぜかレミゼモードになれず。考えるのは9月のエリザのことばかり。劇場に着くと、目の前には「エリザベート」の巨大看板が!!内野トート、相変わらず素敵♥と勝手にメロメロ〜〜「これではいかん!」と自戒したのですが……\(_"_ )

     初レミゼ、最初に懺悔します。思いっきり私情を挟んで観てました。鈴木ジャベールの後ろに内野ジャベールを思い、自分の恋愛とマリウスを重ね合わせて必要以上に腹を立て……「愛することは神様のおそばにいることだ」というテーマなんてどこ〜〜??っていう感じで観てました。

    第1幕 一日の終わりに
     舞台の造りが今までに見たことのないものだったのでびっくり。真ん中で床が回転するセットなんですよね〜今回は2階席だったので回っている全景が良く見えて、慣れるまで何となく可笑しかったんですけど^^;1階席で同じ目線の高さだと違った印象なのでしょうか?!

    夢やぶれて
     マルシアファンテーヌ、イメージ通りでした。さすがブラジル出身の端正な顔立ち!しかも歌も上手いので(歌手だから当たり前か…)見入ってしまいました。

    馬車の暴走
     舞台が暗かったし、下手側の2階席だったせいもあって、一瞬“鉄人○○号”らしきものでもやってきたのかと思いました(笑) ま、ライブハウスを髣髴させるLEDスクリーンよりはマシ?!

    ファンテーヌの死
     山口バルジャンの歌、素晴らしいです〜〜♪雄大な歌声もさることながら、ピアニッシュモの安定した音程と敢えて地声を入れたような歌声、聞きほれてしまいました。ただ……毛布をかけてあげるところとか、ファンテーヌを抱きしめるところ、もうちょっと優しい感じが出てると宜しいかと^^; 悪くはないんですよ。でも仕草が大味すぎるような…

    対決
     山口バルジャンvs鈴木ジャベール、歌声に引き込まれました。実際に剣を取って戦っているんですけど、歌唱力がある二人が歌うと、歌で戦っているように感じるんですよね〜〜。鈴木さんの声、結構好き(*^_^)

    取引
     リトルコゼット、可愛かったんですけど、歌声が割と大人っぽい声だったですよね〜〜もう少しかわいらしい感じだと良かったかな?!

     テナルディエ夫妻、いい味出してますね。森久美子さん、テレビのバラエティでしか見たことがなかったんですけど、さすがオペラなどを歌われるだけあってさすが素晴らしい歌声でした。

     バルジャンとコゼットが並んでいるシーン、結構私のツボ☆山口さんが大柄な人なので、コゼットがちょこちょこついていっている姿がいっそう可愛く見えて(⌒▽⌒) しかも、その後回転する床の上でバルジャンがコゼットを抱きかかえて飛行機ごっこみたいにグルグル回すシーン、すっごい羨ましかったんですよ。私もやってほしいな〜〜なんて(爆)

    星よ
     鈴木ジャベール、素敵すぎますよ〜☆舞台の真ん中で、会場を包み込むような、それでいてクールな歌声を聞かされたらメロメロ〜になるじゃないですか!!でもぉ……実は想像しちゃってたんですよね。2003年レミゼで内野さんがジャベールを演じられてたので、内野ジャベールだったらどんな感じだったのかなぁ〜って^^; きゃぁぁ〜〜ゴメンナサイ。

    エポニーヌの使い走り
     この辺りからマリウスへの怒りが湧いてくるんですよね〜(`Δ´) 自分に好意を持っている女の子に、自分が一目ぼれした女の子を探してほしいだと!!どれだけ残酷なことを言っているのか分かってんのぉ〜〜( ̄― ̄)o゛しかも、好きな人からの頼み事を断れないエポニーヌの切なさ……鈍感にも程があるぞ!分かっていてやったとしたら死刑だ〜〜(メ▼。▼)y- 私が思うに、何となく気づいていたんじゃないかなぁって。ただ、自分はエポニーヌのことを恋愛対象には思えないから拒否する。悪気はないと思うんですけどね。概して、男という生き物が鈍感なのは仕方ないと思いますけど、その鈍感さがどれだけ女性を傷つけているのか、少しは自覚してほしいものですよ。(そう、あの人にも! By じい)

    心は愛に溢れて
     知念コゼット、悪くはないんですよ。何といってもカワイイ!大事に育てられた娘のイメージにぴったり。でもぉ……歌がちょぉ〜っと……ねえ^^; 下手ではないんですよ。ただ他の役者さんたちと比べて声量も表現力も物足りないような気がするんですよね〜

     マリウスへの怒り、順調に(?)増幅しています。門の外でコゼットとマリウスを哀しそうに見つめるエポニーヌ、かわいそすぎますよ〜(ノ_<。) それに健気ですよね。コゼットを見つけ出してマリウスを連れていくんですから。少しは気遣ってやれよ、マリウス!!

     このシーンを見ながら、なぜかコゼットにも怒りが沸々……一番悪いのはマリウスなんですよ。ただ、無邪気に仲良くするコゼットの天真爛漫さに「知らない故の罪」みたいなものを感じたんですよね。明るい道を歩く人に意味不明な反感を持つ私、ひねくれ者なのかしら?!

    第2幕 オン・マイ・オウン
     第一の涙、ここで来ちゃいました。好きな人に振り向いてもらえない切なさ……「あの人思えば幸せになれるよ…(中略)…いない人に抱かれてひとりの朝まで歩く」「愛しても思い知らされる、一生夢見るだけさ」 エポニーヌの気持ちに、レミゼ観劇前の数日間に急展開した自分のコイバナを重ね合わせて、目がウルウルしてました。最後の「愛してる、でもひとりさ」なんて……今思い出しても泣けてきます(ノ_<。)

    恵みの雨
     エポニーヌが撃たれて愛するマリウスの腕の中で死ぬシーン。本当はここも泣きポイントらしいのですが、私は泣けなかった……原因は2つ。一つは私の苦手な「典型的ミュージカル」のニオイを感じたこと。瀕死の重傷を負っているエポニーヌがか細い声で歌うのなら分かるんですけど、結構はっきりした声で歌ってるのが気になって……しかも「もう死ぬの」やら「抱きしめていて」やら言っときながら、ま〜だ力強く(?)歌ってるし^^; それに対してマリウスも泣きながら「死ぬな」とか言ってるのに声が妙に明るい。よくミュージカル映画のキスシーンで、キス直前で顔を近づけて歌うシーンがありますけど、それを見る度に「早く次にいってよ〜」とツッコミたくなるんですよ。ストーリーの流れから不自然に浮いてしまう歌、ちょいと引いてしまいました。二つ目は、マリウス!あんたが悪い!!(演じられていた泉見さんには恨みはありませんので、念のため)好きだ〜ってアプローチするエポニーヌをないがしろにしておいて、最後は「死ぬな」だと。しかもそこに愛(友情や同士愛を含めた)は感じられませんでしたよ。ええい、白々しい!と私の怒りは沸騰寸前。

    苦悩の夜
     マリウスへの怒り、最高潮に達しました。さっきまでエポニーヌを抱きしめて泣いていたのに、舞台に出てきたと思ったら「コゼットはどこ?」だとぉ〜〜((/--)/ 全然「苦悩の夜」じゃないじゃん!!それにひきかえアンジョルラスの友情、気遣い……男気があるじゃないですか!!自分だってバリケードの中で戦っていてぎりぎりの状況に置かれているのに……マリウスにはもったいないぞ!

    最後の戦い
     ガブローシュ、圧倒されてしまいました。子供とは思えない迫真の演技。歌も上手だったし。最後に銃を拾いに行こうとしてバリケードの外に出たところで撃たれて殺されるシーン、リアリティがありました。転がり方とか……実際のドキュメンタリーを見ているようでした。

     銃撃戦の後、天からの光のような白い照明に包まれて舞台が回転し、バリケードの傍で死んでいった大勢の学生たちが出てくるところ、決して感動したとは言いたくない。戦って死ぬことを美化したくないんですよ。確かに自由を求めて戦った時代があった。命をかけた人々がいた。だから現代の自由な世界がある。それは知らなければならない事実だと思います。でも、戦って死ぬことの空しさ、悲惨さを感じて沸いてきた救いようのない感情も大切にしたい…

    ジャベールの自殺
     セーヌ川に飛び込むシーン、暗くてよく見えなかったo(;△;)o オペラグラスを使ってやっと判別できるくらい。ま、明るい自殺シーンなんてできないから仕方ないかな^^;

     鈴木ジャベール、かっこよすぎます!罪です!!バルジャンを見逃して自分の正義が崩れてしまったことに苦悩するシーン、最高でした。橋の上で、地の底から湧きあがってくるような力強いけどクール、苦悩がにじみ出た声で歌うところなんて舞台に釘付けでしたよ。はぁ〜〜っていう溜息しか出なかった(^.^) このシーンを見ながら、ジャベールは冷酷に見えるけど、自分の信じた道を一生懸命生きていた人なんだと思いました。決して悪い人ではない。だからバルジャンを逃がした自分がわからなくなった時の苦悩、切なくなりました。

    カフェ・ソング
     生き残ったマリウスが歌うところで、後ろにバリケード戦で死んでいった仲間たちが眺めているシーン、本当だったらここも泣きポイントのはずなのですが、泣けなかった私。やっぱりマリウスへの怒りが消えないんですよ〜〜〜( ̄ε ̄;) 最後に振り返りながら去っていくシーン、アンジョルラスの「未来はお前に任せた」と言うような視線をマリウスに送っていたように思ったのですが……男の友情ですね。昔はこういうシーンに弱かったんですけど、恋愛モードに入ってる今の私のツボではなかった……かも^^;

    空のテーブル 空の椅子
     コゼットにはもう自分は必要ないと悟って去っていくバルジャン、娘を嫁がせる父親の心境といったところでしょうか。ここでふと思ったんですよね。原作を読んでいないので私の思い込みかもしれませんが、コゼットを娘としてだけでなく、愛していた部分があったんじゃないかなぁ〜って。もちろん色恋云々ではなくて……コゼットを通してファンテーヌを見ていた部分もあったのかもしれないし、恋愛を超えた、神の愛に近いような壮大な愛もあったのかもしれないし。山口さんは歌声でいろんな感情を表現されるので、いろ〜〜んな想い(妄想か?!)が浮かんできました。

    マリウスとコゼット(結婚式)
     あ〜あ、結局この話の中でハッピーエンドになるのはこの二人……未来を託す希望の象徴なのは分かるんですけど、マリウス嫌い&ちょっぴりコゼットへの反感を持つ私は納得できないですぅw(:_;)w

     テナルディエ夫妻、すっごい衣装着てましたね。あの紫とショッキングピンクのドレス、森さんにしか着こなせませんよ^^; テナルディエ夫妻、最後まで相変わらずでしたけど、人間が生きるってこういうことじゃないのなぁ〜と思いました。醜くてかっこ悪いけど一生懸命生きている姿に感服!

    バルジャンの告白
     いや〜〜まさかここで涙腺全開になるとは思いませんでした。それまで、マリウスへの怒りにまかせて感情移入できなかった私。周りは第2幕後半からウルウルしているのに……何か取り残されたような気がして淋しかったんですよね。それが、最後の山口バルジャンの歌で大号泣〜(><。)。。涙がとめどなく溢れてきて止まらないんですよ。こんなこと初めてですよ〜!!コゼットに「本当の父ではない」と告白、「自分が神に召されたらこの手紙を読むといい」といって手紙を渡すシーン、自分の苦悩に満ちた人生がにじみ出た歌声と共に、コゼットを一人の大人として未来を託すバルジャンの愛情を感じて……しかも、山口さんのあの歌での表現力!!泣くしかないですよね〜

     カーテンコール、話には聞いていた花束投入……さすがに2階席までは届きませんけどね^^; 出演者全員が舞台に揃ったところで、鈴木さんの挨拶。普通に挨拶をされた後、VISAの貸切公演だったので、「STARS」の替え歌を歌ってくださいました。「Eのコードください」って言って「三井住友VISAカードは〜限りない日本の未来を照らすのだ〜口も聞かず確かなお財布の代わり、カードなのだ〜」と……会場中大受けでしたよ(≧∇≦) その後、舞台上に夢中になっていたので回数は数えていないのですが、何度も主演者全員で舞台に出てきてくれました。最後に山口さんがお辞儀をしながら後ずさり……最後に手だけ出してバイバイって……何と可愛い♥

    余談……
     実は、劇場を後にしながら考えていたのは9月のエリザ。
     今日は2階席だったけど、あの位置では内野トートの投げキッスがもらえない(爆)
     何としても9月は1階席に行きたいアホなのでありました……m(__)m

    【何となく気づいたこと】
     レミゼの曲、音程というよりも変拍子なのでリズムが取りにくそうな曲が多かったです。庶民の「力強く生きる姿」を描いたこのミュージカル、迫力はあるんですけど華がない(例えば「エリザベート」のような豪華さみたいなものかな。)その分、歌唱力が問われると思いました。
     私は、突然踊りだしたり歌だけが突出したミュージカルが苦手。だからこそ、梅コマで「エリザベート」を見て、内野トートの創り出す「演劇としてのミュージカル」に引かれたのです。音程が狂っていない云々ではなく、まるで普通の台詞ではないかと思わせるような歌い方に心を奪われたのです。
     しかし、レミゼで山口さん、鈴木さんの安定した素晴らしい歌を聞いて、「演劇としてのミュージカル」でもなければ「典型的な(?)私の苦手なミュージカル」でもないミュージカルがあることを知りました。音程をはずさないで歌に強弱をつけ、リズムが狂わせないで歌詞に込められた気持ちを表現する歌い方……歌で表現するとはこういうことなんだということを見せつけられた感じでした。こんなこと、圧倒的な歌唱力がなければできないことですよね〜〜\(^.^)/
     山口&鈴木さんの歌に惚れてしまった私は、9月のエリザに「山口トートのチケットを取るぞ!」作戦を実行中……(鈴木フランツにお会いできることにはなったので。) ますますのめり込んでしまうじいなのでした。9月は有楽町までの1ヶ月定期が必要かしら(⌒_⌒;

    2005年5月17日 記

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