トップページ2005年 観劇の記憶モーツァルト!

モーツァルト! 8月9日17時45分開演 帝国劇場

    帝劇へ猛ダッシュ!

     『モーツァルト!』2回目観劇。平日ソワレな上に5時45分開演と他公演に比べて早い時間だったので、定時に会社を出て猛ダッシュでした。何とか予定どおり開演10分前に到着。この日は母親&伯母も一緒に観劇だったのですが、親たちは一足先に到着。お茶と何故か人形焼を食べながらくつろいでました^^;
     それにしても、この日の観劇はついてないことが多かった。会社でコンタクト(ハード)を外して洗ってたら排水溝の中に旅立ってしまって(+_+)片目なので何とも見にくかった(泣) その上、この日の席はM列のセンターブロックだったんですけど、運の悪いことに前列のオヤジがでかいしガサガサ動いてくれるし……舞台の中央が思いっきり隠れて最悪でした。帝劇の真ん中以降のセンターブロックは見にくいってよく聞きますけど、思いっきり実感することになるとは!!

    親との観劇はつらいよ!

     今回で2回目のM!でしたが、クンツェ&リーバイ作品で音楽もだいたい前回の観劇で頭に入ってたので余裕をもって楽しめました。が!! 親が隣にいると素直に泣いたり笑ったりできなかった。特に家族や親子関係がテーマになってる作品でもあるので^^; 当の親が隣にいると思うと照れくさくて……
     井上芳雄クン、テレビやCDではおなじみだったんですけど、生で観るのは初めて。正直、期待していたよりはちょっと……ん?って感じだったんですけど、この日の舞台、キャストの皆さんもお疲れの様子だったので舞台全体に覇気がなかった!!それがちょぉぉ〜〜っと残念(ToT)

    第2場:ザルツブルグ タインツマイスターハウス(モーツァルトの生家)
    井上ヴォルフ登場!!ついつい前回観た中川ヴォルフと比較してみてしまったのですが、井上ヴォルフの方は「やんちゃな坊ちゃん」「(姉から見て)モテモテでかっこいい弟」とといった雰囲気でした。やはり「ミュージカル界のプリンス」という印象が拭いきれないせい?!

    市村パパ、相変わらず素晴らしい歌唱力でした。舞台に出てこられるだけでピシッと締まるんですよね〜〜ヴォルフが買った赤いコートを返してこいというシーン、中川ヴォルフには鼻をピン!って突っついてましたけど、井上ヴォルフには鼻を掴むだけでした。ある程度大人的な扱いなのかな?

    「僕こそ音楽」、井上クンは正統な歌い方でした。ちょいと真面目すぎて背負いすぎた歌い方かなぁ〜と感じたところもありましたけど、さすがに聞かせてくれました!曲の始まりの方で、アマデが持っていた羽根ペンを取り上げて、それをアマデが「返して」って感じでヴォルフに飛びつこうとするんですけど、ちょっとぎこちなさが合ったように思いました。アマデとの絡みはバランスや雰囲気的に中川ヴォルフの方が好き♪

    第3場:大司教レジデンツ(居城)の大広間
    山口コロレド登場!!圧倒的な存在感はさすがです。で、やっぱり山口さんの登場で笑ってしまう私^^; なぜなんでしょうねぇ〜〜あんなに格好いいのにどこか笑うツボがあるんですよ。それって祐サマのお人柄か?!最後にマントをひるがえして去っていくところ、素敵だったんですけど前回見たときのような切れがなかったような……お疲れなのかなぁ。

    第6場:ザルツブルグ タインツマイスターハウスの音楽室
    外の世界に出て行こうとするヴォルフを説得するレオポルト。市村パパの演技&歌が7月に比べて更に進化していたように感じました。「心を鉄に閉じ込めて」を歌われる時の父親の苦悩ぶりが更に深まったように感じました。子供の自立を認めながらもいつまでも心配してしまう親心、市村さんの深い演技に心が痛くなってしまったんですけど、当の親が隣にいると思うと……素直に感動できかった^^;

    第11場:ザルツブルグ 大聖堂のパイプオルガンの前
    8月は香寿男爵夫人!久世男爵夫人よりも華やかでたおやかな雰囲気だなぁと思いました。久世さんほど押しが強くないので、「星から降る金」を歌われた時も、音楽がまるで空気の一部であるかのように自然に体に入ってきたように感じました。ただ、別の言い方をすれば存在感がなかったような……久世さんの強いイメージの男爵夫人とは違う役のとらえ方だと思うので、こういうのもありかなぁ〜とは思いますけど。

    「星から降る金」、大好きな曲です☆今回は最初から歌詞を聞き取れたので、ヴォルフとレオポルトの父子関係を象徴した歌詞になっているのがよく分かりました。「愛とは解き放つことよ。愛とは離れてあげること」というところ、やっぱりウルウルしてしまったんですけど、この時もやっぱり隣に座ってる親を意識してしまって……この時悟りましたよ。親とは観劇しない方がいいかも?!

    第12場:ウィーンへ向かうコロレドの馬車
    祐サマのトイレシーン、前回よりも更にパワーアップしたのでは!!腹痛と闘いながら歩くところ、ヨタヨタぶりがさらに激しくなって……で、“用”が済んでついたてから顔をムクっと出すところ、髪の毛の乱れっぷりが凄かったです。7月に観た時よりも爆発してましたよ。それを一生懸命直そうとするコロレド、ますます笑いを誘ってました〜O(≧∇≦)O

    第13場:「ウィーン プらター公演の見世物小屋」
    母親が妙に気に入っていた場面。手品師が火を噴くところやコンスタンツェのポップな服がツボに入ったようです。どちらかというと、ブロードウェーっぽい楽しいミュージカルが好きなタイプだからなぁ……うちのママ^^;

    第15場:ウィーン ドイツ館のコロレドの官邸
    ヴォルフvsコロレドの闘いのシーン。中川ヴォルフの時は若さvs権力のぶつかり合いでヴォルフという存在とコロレドの存在が闘っている感じだったんですけど、井上ヴォルフの場合は歌で闘っているような雰囲気でした。レミゼの「対決」で山口バルジャンと鈴木ジャベールの絡みを彷彿させる闘いだったように思います。さすがにミュージカル俳優として歌を大事にしている二人だけあります!!

    第16場:ウィーン 街路
    「影を逃がれて」の大合唱、迫力がありました……が!!井上クンの歌、高音が辛そうだったのが残念。一生懸命出そうとしているのは分かるんですけど、叫んでるとしか聞こえない時もあって(;_;)その叫びが「心の叫び」として表現できているのならそれもあり!なんですけどね^^; そういうワイルドさは井上クンのキャラにはちょいと無理があるのかな。

    第2幕第2場:ウィーン バルコニー付の部屋
    今回、お初の木村コンスタンツェ。木村佳乃さん、ドラマ等で見ててかっこ良くて切れがあって頼れるお姉さんっぽくて大好きな女優さんなんですけど……でもぉぉ…あのぉぉ、もう少し歌を何とかしていただけると嬉しいのですが。まぁ、私を黄泉の国に連れて行ったあの方も、初演の時は椅子から転げ落ちそうな歌だったとか……おっと、エリザの話は置いといて………木村コンス、聞いているのが痛々しいというか、ハラハラするというか、一生懸命なのは分かるんですけどね。ただ、西田コンスのように、中の人のイメージが前面に出ていないのは良かった。そういうところはさすがに女優さんです。ヴォルフを愛する気持ち、作曲に夢中で自分を見てくれない寂しさ、裏切られた時の悔しさ……気持ちの流れや変化が伝わってきたので納得して観ることができました。

    第5場:ザルツブルグ レジデンツ(居城)の芸術作品陳列室
    「神よ、何故許される」、客席中を包み込むようなドラマチックな歌い方。歌の帝王は健在です!今回は、意味不明な手の動きやしぐさはなかったので、(・・?)となることはなかったです。←それが普通だって?!

    第7場:ウィーン ブルク劇場の舞台裏
    レオポルトとヴォルフの対決!中川ヴォルフの時は、少年っぽさを残した息子が大きな存在である父レオポルトに認めてほしいと懇願する雰囲気があったのですが、井上ヴォルフの場合は「(今の自分を)見て見て〜〜見〜〜て!!」とちょいと自己顕示欲を表面に出した対決になっていたように感じました。「何故愛せないの?」を歌う時も、心の奥に閉じ込めていた叫びを表すというよりは、自分の望んでいることをここぞとばかりにぶつけるような感じで少しだけワガママ息子っぽい歌い方になっていました。やっぱり、ダブルキャストの面白さ!キャストが違うと演じる役の性格や雰囲気も変わってくるんですね〜〜

    第11場:ヴォルフガングの混乱
    「星から降る金」のリプライズ。ヴォルフに大人になれ!というメッセージを込めた歌になってて……父親、姉という家族を捨て、妻コンスタンツェと自分のfamilyを作ることもできず……パンフレットに「どんな子供でもある意味で天才であり、いかなる天才もある意味において子供である」というショーペンハウアーの言葉が書いてありましたが、ヴォルフは子供のままでいたからこそ天才でいられた、天才だったからこそ大人になりきれずに失ってしまったものがたくさんあった、ということではなかったのかなぁ……

    第15場:熱狂
    中川ヴォルフの時は、追いつめられて作曲するヴォルフと中川クン本人がダブって見えたんですけど、井上ヴォルフの場合はそういうワイルドさはないんですよね。井上クン、一生懸命ヴォルフを演じようとしてゴテゴテといろんなものを背負っている感じがして、もう少し自然に振舞ってもいいのでは?と感じるところが多々。その背負っているものに応えようとして必死になって作曲している演技をしているように思いました。

    第16場:1791年12月4日夜遅く
    アマデが掲げる羽根ペンで自分の胸を刺して死ぬ時、ヴォルフが「僕こそ……」と歌うんですけど、最後の「ミュージック」まで歌いきれない。その間のとり方、歌い方は素晴らしかった!!一瞬、音符が止まるのが見えたような……最後の最後で井上クン、聞かせてくれました!!

     カテコは、7月に観た時とほぼ同じでした。山口さんの小さいお手振りがなかったのは残念!やっぱりお疲れなんでしょうか?!3回幕が上がって出演者全員で挨拶。今回は指揮が塩田さんだったので、幕が下りても会場が明るくなっても煽る煽る!!で、最後はお約束のヴォルフ&アマデのカテコ。二人で舞台の端から端まで走り回って投げキッス。こういうところはさすが井上クン。観客の心をわしづかみにしてました。投げキッスを振りまくだけ振りまいた後、アマデをおんぶして退場!!いや〜〜楽しかった♪

    ダブルキャストの面白さ

     今回、ミュージカルを初めてリピートしました。ダブルキャストの両方を経験したのも初めて。エリザの時は内野トートonlyでもう一人の閣下には目もくれてませんでしたから^^;(注!今年のエリザは違いますよぉぉ。両方観ますから!)それで、キャストが違うと演じる役がここまで変わるんだなぁということを実感しました。
     中川ヴォルフはワイルドなんだけど可愛い雰囲気でした。歌い方もシャウトが入っていたり伸びやかな高音で歌っていたりして、既成のミュージカルの演じ方&歌い方を打ち破るような感じ。一方の井上ヴォルフは正統な歌い方で聞かせてくれる。演技の方は、いろいろと背負いすぎて無理してるなぁと感じさせるところがあったのは残念でしたけど。二人の違い、エリザに例えれば言わずもがな、ダブルトートというところでしょうか。この違いによってヴォルフの性格も変わってくると思うんですよね。中川ヴォルフは聞き分けのないやんちゃな暴走列車のような奴、井上ヴォルフは大人びた生意気なところがあるけど憎めない、cleverなやんちゃ坊主……といったところかなと。私的には中川ヴォルフが好み。井上ヴォルフも悪くはないんですけど、天才のアマデと等身大のヴォルフの狭間で追いつめられていく、“狂気”が足りない気がする。その点、中川ヴォルフの方が心にストンと落ちてきたんですよね。
     ホント、ダブルキャストは面白い!ダブル、トリプル、クワトロ……組み合わせを変えてリピートするミュージカルファンの気持ちが良く分かります。はまると懐が寒〜〜くなる……ミュージカルは麻薬だ^^;

    2005年9月7日 記

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